沙希18「真っさらの女性を緊縛の道へ!」

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    この日、沙希25才の誕生日だったのだ。


    仕事帰りの沙希を六甲山からの夜景を見に連れ出した私に、実は誕生日であったことを沙希は告げたのだった。

    そんな特別な日を、なんとも味気ない日常生活でもって幕を閉じようとしていた彼女を救えたような気がした。思い上がりかもしれないが。

    ともかく、騒がしくなってしまった二つ目の展望台を後にし、もう大分遅い時間だったので、沙希を家まで送ることにした。



    ・・・なにか忘れていませんか?


    そう、先回の別れ際、
    「次に会ったときは両腕を後ろに組んだ状態で縛るから、覚えててね」
    「はい」
    というやり取りが交わされていたことを。


    この日、私は当然その機会を伺っていた。

    沙希は場の雰囲気に酔っている。基本的に大らかな性格の彼女だから、この流れで縛ることを拒否しないと思う。
    ただし男性側の配慮として、そういう気持ちの流れに沿いながら緊縛に持ち込みたい。緊縛は楽しく、酔えるものだと感じて欲しいのだ。


    クルマに乗り込み、少し走らせる。表六甲ドライブウェイは、急な下り、急なカーブが続くさなかで時々ハッとするような夜景が見え隠れする道だ。

    そんな道すがら、急カーブの膨らみの広がった部分でクルマを止めた。眼下には宝石箱をぶちまけたような光の洪水。少し標高が下がったぶん、手が届きそうな印象もある。

    沙希はまたも、少し眠そうだ。あるいは雰囲気に惚けているのかもしれない。そんな彼女に、声を掛ける。


    「縛ってもいいかな?」



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