沙希19「真っさらの女性を緊縛の道へ!」

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    ケーブル山上駅展望台からの帰り道、表六甲ドライブウェイのカーブの一つでクルマを止めた。路側帯が大きく広がっているところだ。神戸の夜景が手に取れるようだ。
    助手席で少しまどろみかけていた沙希に、私は言った。「縛ってもいいかな?」

    「だめですよ」

    ゆったりとした口調で答える彼女をあえて無言でいなし、トランクから取り出した真っ赤な緊縛ロープを手に、助手席の真後ろに乗り込む私。


    今こそ、後ろ手縛りだ。


    「少し助手席を倒して。そう、それくらい」

    緊縛を否定した沙希は、しかしながら素直に従った。女心とは分からないものだ。

    「腕を背中に回して。もう少し、そう、それくらい」

    先ほどと同じようなことばで沙希を導いていく。背中で両手首を交差させて、位置決めをする。
    車内灯は点けていない。一応のデリカシーだ。水銀灯の灯りで、なんとかロープを掛けていく。やはり暗いので、スムーズとは言い難い縄運びだ。

    少し手間取って両手首を固定。この時点でのロープの締まり具合は、緩めくらいがちょうど良い。そして、いよいよ、胸に向かったロープを掛けていくことに。この期に及んでも、相変わらず沙希は従順なのだった。



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